科目名 物質計測科学科学特論
担当教員 野々瀬 真司
コース・専攻名 博士前期 生命ナノシステム科学研究科 ナノシステム科学専攻
講義概要
クラスターとは原子・分子が数十個集合した小数多体系である。クラスターはバルクの液体・固体とも、また気相に孤立した原子・分子系とも異なる新しい物質系である。これはいわば孤立した原子・分子の領域と固体・液体の領域の中間に位置する、第４の相ともいうべき状態である。特にクラスターは最先端のナノテクノロジーの重要な基盤材料として注目されている。本講義では、クラスターを生成する方法、およびその特異的な構造・機能について詳しく解説する。さらに、ナノテク産業への応用等に関する将来への展望について概説する。
キャリア形成との関連性
本講義では、クラスターの基礎的な物理・化学に関する知識を修得させ、将来に機能性材料・半導体産業などのナノ科学技術の発展に貢献する人材を育成することを目的とする。
成績評価方法
学習上の留意点 授業の中で自分の興味を覚えた部分を掘り下げて理解を深め, 将来の自分の専門に役立てて欲しい. 万物は多種多様な物質から構成されている. クラスター科学に関する知識は, 万物のふるまいを理解する道具として必ずや将来の専門にも役立つと思われる.
教科書・参考図書等 "参考書
1．Advances in Metal and Semiconductor Clusters, Vol. 1-5, M. A. Duncan (Ed.), JAI Press Inc.
2．Clusters of Atoms and Molecules, Vol. I and II, H. Haberland (Ed.), Springer-Verlag.
3．新しいクラスターの科学 菅野暁・近藤保・茅幸二編 講談社.
4．季刊化学総説「マイクロクラスターの新展開」日本化学会編 学会出版センター.
履修申請上の注意点
授業に積極的に参加することが理解を助ける. 一緒に楽しく勉強しよう.授業にはきちんと出席して参考書による復習をおこなって欲しい.授業をとおしてクラスター科学の基礎を修得して貰いたい.
教員研究室
理科館3Ｆ 333号室
教員オフィスアワー
月曜日から金曜日 １０：００−１９：００ 講義に関する質問を歓迎します
授業計画（週単位） １．クラスターとは？
２．クラスターの生成、構造、安定化
３．クラスターの幾何学的構造(1). 幾何構造と安定性-正20面体-
4．クラスターの幾何学的構造(2). 炭素クラスター、フラーレン、ナノチューブ
5．クラスターの電子構造(1). 金属クラスターの電子殻模型
６．クラスターの電子構造(2). 大きなクラスターの量子効果・ 金属ー非金属相転移
７．クラスターの電子構造(3). 溶媒和クラスター - 余剰電子の束縛状態（内部状態と表面状態）
８．クラスターの反応とダイナミクス
９．超微粒子とメゾスコピック系 - 量子効果
10．原子核とクラスターとの類似性と異質性 - 殻模型と魔法数
11．生体分子中のクラスター
12．クラスターの科学から応用へ(1). 金属クラスター触媒
13．クラスターの科学から応用へ(2). クラスターイオンビームによる薄膜の形成
14．クラスターの科学から応用へ(3). 写真乾板への応用
15．クラスターの科学から応用へ(4). 単一の磁区からなるクラスター-磁気素子への応用-
