科目名 エネルギー変換
担当教員 野々瀬 真司
学習到達目標
エネルギー問題や環境問題は、今日人類が直面している地球規模の問題である。本講義では物理化学の視点から見た場合に、エネルギー問題がどのように理解できるのについて詳しく解説する。さらに、物理化学に関する知識がエネルギー問題・環境問題の解決に向けてどのように役立つのかを、ともに考えていく。
講義概要
エネルギーにはさまざまな形態がある。本講義では、これまで学んできた統計熱力学・反応速度論・量子化学などを使って、エネルギー問題や環境問題を捉えることを目標にする。その結果、科学の視点から社会問題を見据えることの重要性と、それを解決するための科学の役割を理解する。さらに問題の本質を地球的視野から多面的に考えることによって、社会の要求を解決する方法について総合的思考力を養う。
序論:エネルギー問題・環境問題と物理化学
光と分子との相互作用(1)
分子の構造と化学結合
光のエネルギー
光と分子との相互作用(2)
可視・紫外吸収と電子遷移
赤外吸収と振動励起
地球温暖化
入射太陽エネルギーと地球の放射エネルギー
温室効果ガスと赤外領域の吸収波数
二酸化炭素濃度の変動
熱帯雨林の減少と海面の上昇
オゾン層破壊
太陽エネルギーの波長分布
オゾン層の形成
フロンの光分解
熱力学第一法則:エネルギーの保存
仕事・熱・エネルギー
膨張の仕事
熱のやりとり
断熱変化
熱力学第二法則:エントロピーの増大
エネルギーの散逸
エントロピー
第一法則と第二法則の結合
化石燃料と資源問題
化石燃料資源
石油資源とその成分
石油の分離精製と化学処理
石炭の成因と種類
石炭の液化
原子力と放射線汚染
反応速度の定義と測定原理
連鎖反応と爆発反応
元素の性質と原子
原子核の構造、反応と放射線
原子力と放射線汚染(2)
原子炉
核燃料
原子炉環境
核融合
環境汚染
光化学オキシダント
内分泌攪乱化学物質
ダイオキシン
新しいエネルギーシステムの開発と将来展望
人工光合成
太陽電池
水素吸蔵合金
燃料電池
光触媒
キャリア形成との関連性
本講義では、エネルギー問題の背景となっている基礎的な物理と化学に関する知識を修得させ、将来に科学技術と社会との関わりに対して貢献する人材を育成することを目的とする。
学習上の留意点
前提科目として「エネルギーと平衡」、「反応の科学」、「ナノ物質創製概説」
参考書
1. 「エネルギーのおはなし」、小西誠一【著】、日本規格協会.
2. 「エネルギーと環境」、多賀光彦・佐藤正知・蛭沢重信【著】、三共出版.
3. 「エネルギー変換」、斉藤孝基・飛原英治・畔津昭彦【著】、東京大学出版会.
4. 「環境とエネルギーの科学」、市村禎二郎【著】、講談社.
履修申請上の注意点
授業に積極的に参加することが理解を助ける. 授業にはきちんと出席して参考書による復習をおこなって欲しい.学生諸君には, 授業をとおして基礎的な学問と社会問題との関わりについて修得して貰えればよいと思う. 授業の中で自分の興味を覚えた部分を掘り下げて理解を深め, 将来の自分の専門に役立てて欲しい.
教員研究室 理科館3F 333号室
教員オフィスアワー いつでも可
授業計画(週単位)
第1週 序論:エネルギー問題・環境問題と物理化学
第2週 分子の構造と化学結合、光のエネルギー
第3週 光と分子との相互作用(1): 赤外吸収と振動励起
第4週 光と分子との相互作用(2): 可視・紫外吸収と電子遷移
第5週 地球温暖化:温室効果ガスと赤外領域の吸収波数
第6週 オゾン層破壊: オゾン層の形成とフロンの光分解
第7週 熱力学第一法則:エネルギーの保存
第8週 熱力学第二法則:エントロピーの増大
第9週 化石燃料と資源問題
第10週 反応速度の定義と測定原理
第11週 連鎖反応と爆発反応
第12週 原子核の壊変と放射線
第13週 原子力発電と放射線汚染
第14週 内分泌攪乱化学物質、ダイオキシン
第15週 新しいエネルギーシステムの開発と将来展望