「力学について」(全学部新入生対象・2005-2006年度)
 ・・・・ 国際総合科学部新入生に対する特別講座・大学で自然科学を学ぶための基礎知識 ・・・・
 一般的に学問とは本来体系的なものである。大学で学問を修得することは、いわば地面に煉瓦を積み上げて建物を造るようなものである。土台から始めて下から順番にひとつづつ煉瓦をがっちりと組みあげていかないことには、堅牢な建物を構築することはできない。どこか一部分にぐらぐらとした不安定な箇所があるのをそのまま放置してその上に煉瓦を積んでいけば、やがて建物全体が倒壊してしまうであろう。
 国際総合科学部で学ぶ専門的な授業は、高校で学んでいるはずの物理や化学を前提としている。しかしながら、大学に入学した学生のうちのかなりの人数が高校で物理の授業を受けていない。これでは、大学での授業を満足に理解できるはずがない。
 特に、国際総合科学部・基盤科学系においてはナノサイエンス・ナノテクノジーに関する先端的な研究を展開している。そこでは、原子・分子の世界を理解するために、量子力学を中心とした物理学が必要不可欠である。ところが、量子力学の学問体系は古典力学や電磁気学を前提して構築されている。よって、量子力学を学ぶためには、その前にまず古典力学や電磁気学を修得する必要がある。
 そこで、我々国際総合科学部・基盤科学系の教官は、高校で物理を履修しなかった新入生に対する特別講座を開講する。高校での修得する力学の基礎についてエッセンスをまとめて講義する。随所で演習をおこない、古典物理に関する基本的な理解を深めるように努める。