2023年度・集中講義・物理化学特論IV





講義概要
クラスターとは原子・分子が数十個集合した小数多体系である。
クラスターはバルクの液体・固体とも、また気相に孤立した原子・分子系とも異なる新しい物質系である。
これはいわば孤立した原子・分子の領域と固体・液体の領域の中間に位置する、第4の相ともいうべき状態である。
特にクラスターは最先端のナノテクノロジーの重要な基盤材料として注目されている。
本講義では、クラスターの特異的な構造・反応について詳しく解説する。
さらに、孤立状態において生体分子を研究する意義について、
および気相タンパク質イオンの移動度の測定と立体構造との関連についても解説する。


到達目標
気相クラスターの電子構造と反応について理解できるようになる。
気相タンパク質イオンの立体構造の変化について理解できるようになる。


講義内容
第1部
・ 金属クラスターの電子構造1; 水銀クラスター, 金属ー非金属相転移
・ 金属クラスターの電子構造2, アルカリ金属クラスター, 電子殻模型と魔法数, 原子核とクラスターとの類似性と異質性
・ 分子クラスターの反応とダイナミクス; I2-(CO2)n, 光解離と再結合, 微視的な溶媒効果

第2部
・ 遷移金属クラスターと気体分子との反応
・ クラスターの衝突反応

第3部
・ タンパク質のフォールディング; Levinthalのパラドックス
・ 気相タンパク質イオンの立体構造の変化;イオン移動度の測定
・ 生体分子の質量分析における新技術
・ 生体分子イオンと気体分子の温度変化によるプロトン移動反応




講義資料のPDFファイル

  ................ 物理化学特論IV vol.1

  ................ 物理化学特論IV vol.2

  ................ 物理化学特論IV vol.3